その単語を初めて聞いたとき、ときめいた。
絵図師・えずし
屈託のない笑顔で、
片方の口角だけをクイっと上げつつ横目でウインク。つぶらな瞳の奥に怪しい光を放つ安部(譲二)さんは、初めてインタビューしたメモリアルパーソンだ。
長野県佐久市の廃校になった小学校だった。
私は深い懐にふんわりと包まれた駆け出しのライターだった。
絵図師とは、意図的に出来事をプランする人。全体像を描く人だ。善いことにも悪いことにもその役割を担う人はいる。
安部さん曰く、「凄いやつがいるんだよ」と。書けない、興味深い話しが次々と飛び出す。
出会ってから20年くらい経ち対談しているなんて、そのころ予想もしなかった。
折にに触れお仕事したり、偶然見かけたりなどしながら、記憶を繋いでいたのかもしれない。
当時役員をしていた勉強会のイベントとして対談の企画をしたら、快諾してくださった
この写真を撮影したのは、カメラマンの日比野宏。
安部さんも宏も、もうこの世にいない。
宏とは、安部さんのご自宅まで出向いた撮影も一緒だったし、文字にできない絵図師の話しをしたことがあった。
「へぇ〜、じゃアンタみたいな人のこと?」
飄々とした顔つきで宏が言った。
この調子でいつも私をからかって楽しんでいた。
因みに、納品されたときこの写真には「離婚記者会見」というネームがつけられていた🤣
晩年探求していた三線をかき鳴らし、天国で安部さんと酔っ払っているかもしれない。
絵図師